TOP研究活動平成15年度活動報告
                2003年度「生体信号計測・解釈研究会」活動報告

 第23回研究会は平成15年6月5日に、第42回大会のオーガナイズドセッション「生物リズムの階層」として開催した(参加者60名)。演題と演者は、「拍動リズムのゆらぎとダイナミクス:リズム制御の階層構造」(北大・河原剛一)、「生物リズムの階層:心臓」(名市大医・早野順一郎)、「ネコの歩行リズム生成・制御機構の構築と機能的特徴」(札幌医大・松山清治)、「運動リズムの生成・制御モデルの構築における階層性」(阪大基礎工・野村泰伸)、「概日リズムの生成と進化の数理」(阪府大工・大同寛明)、「ヒト日周リズムの位相振動子モデル−階層をたどる枠組み−」(東北大情報・中尾光之)の6件であった。ここでは心臓、歩行、日周の生体リズムにおける特異性と普遍性、およびリズムの階層的な成り立ちに焦点を絞り、実験とモデル化の両面から議論を行った。
 第24回研究会は、平成15年10月8日に、第18回生体・生理工学シンポジウムのオーガナイズドセッション「分子レベルのウェットでドライな話」として開催した(参加者40名)。演題と演者は、「DNAの物理と遺伝子発現の制御」(東大理・佐野雅巳)、「生命現象の物理」(京大理・吉川研一)、「シアノバクテリアの生物時計システムの分子基盤」(名大理・岩崎秀雄)、「遺伝子調節系における熱揺らぎの機能的役割」(阪大基礎工・下川哲也他)の4件であった。このセッションは本研究会の分子レベルへの展開を期して開催したものである。
 これまでは従来の酵素反応系の枠組みで転写・翻訳ループのダイナミクスが記述されてきたが、実際には、確率的なゆらぎを考慮する必要があることが実験・理論の両面から指摘された。このことから我々の蓄積してきた知識が有効に発揮できる分野であることが改めて認識された。
 第25回研究会は、平成15年10月21日に、第17回秋季大会のオーガナイズドセッション「生体信号解析の広がり」として開催した(参加者80名)。演者と演題は、「特別講演1: 信号理論における時間と周波数の相克」(阪大基礎工・佐藤俊輔)、「特別講演2: エントロピー・ダイバージェンス・そして最尤法と信号解析」(近大生物理工・吉川昭他)、「統計力学的手法に基づく心拍変動の解析」(阪大基礎工・中村亨他)、「大腿部alternative dynamic occlusionによる心拍リズムゆらぎの解析」(山形大工・新関久一)、「ブラインド信号分離を点時系列に使ってみる」(東北大情報・佐藤道由他)の特別講演2件、一般講演3件であった。
 本学会における信号処理を標榜する研究会は、1982年に鈴木良次先生が「時系列的生体情報の計測・処理研究会」を始められてから20年(8世代)が経過した。この間、スペクトル解析、確率過程の応用技法、時間周波数解析、非線形信号解析、モデリング手法など様々なテーマをめぐって議論が行われてきた。本研究会はこのような新しい解析法を常に取り込みながら20年を歩んできた。単なる信号解析といってもその奥は深い。
 これまで、この分野をリードして来られた先生方にその本質についてご講演頂くと共に、新しい世代の技術についても、その広がりについて示すセッションとなった。生体信号処理はあらゆるME分野の根幹をなす技術の一つである。したがって、このような基幹分野を継続的に扱う研究交流の場として機能していく。さらに、ポストゲノムからフィジオームへと至るシステム論的な研究分野を開拓していきたい。