TOP研究活動平成14年度活動報告
   2002年度「生体機能の計測と解釈のための信号処理研究会」活動報告

 第21会研究会は平成14年9月9日に、北海道大学で開催された「生体・生理工シンポジウム」との共催とした(参加者60名)。6件の一般演題のうち、生体信号処理に関する話題が3件(正常及び癲癇性異常脳波のフーリエ解析とウェーブレット解析、平均2乗誤差を改善するエントロピー推定量、呼吸情報に着目した呼吸性洞性不整脈の抽出精度の向上)、生体信号の生理的解釈に関する話題が3件(自己運動感を伴う映像の動きベクトルによる生体影響、スキー運動時における心拍変動と筋活動からみた運動機能変化の解析、筋音図の計測と処理)であった。
 第22回研究会は、平成15年3月14日に、東北大学電気通信研究所で開催された「生体・生命工学研究会」との共催で行われた(参加者40名)。「脳の神経細胞の新生を促進する物質と抑制する物質」と題して東北大学大学院情報科学研究科の内田克哉先生に特別講演を行って頂いたあと、5件の一般講演があった。生体システムのモデル化に関する話題3件(バースト発火ニューロンによる状態遷移、振動子ニューラルネットワークのダイナミクス、拘束条件生成と拘束充足による二脚歩行のリアルタイム制御)、生体信号計測と解析に関する話題2件(重力負荷に対する心臓血管系の応答特性、心筋細胞集団の時空間ダイナミクスの光学計測)であった。
 また、研究会がこの2年くらい新らしい信号処理技術としてその流れを追跡してきた「ブラインド信号分離」のまとめとして、BME誌5号で特集「ブラインド信号分離とその生体信号処理への応用」を組むことができた。企画には前会長の木竜と現会長の中尾があたり、研究会の"常連"の研究者の何人かが執筆者として参加している。
 具体的なテーマとしては、最新のブラインド信号分離技術に関する理論的な側面に関するもの3件(ICA/BSS理論の動向について、ブラインド分離とその脳波・音声・画像解析などへの応用、ブラインド信号分離の胃電データへの応用)、ブラインド信号処理技術の応用に関するテーマが3件(ブラインド信号分離とfMRI画像解析への応用、ブラインド信号分離技術の表面筋電図による運動単位活動電位計測への応用、ブラインド信号分離技術のてんかん脳波解析への応用)であった。
 今年度は会長交代ならびに幹事を刷新した。引き継ぎが必ずしもうまく行かず、恒例化している春季および秋季大会でオーガナイズド・セッションを組織することはできなかった。しかしながら、一方で、研究会ホームページ(http://spmibf.bsp.bc.niigata-u.ac.jp)の充実(過去の特別講演映像のライブラリ化、論文のPDF化)を行った。生体信号処理はあらゆるME分野の根幹をなす技術の一つである。したがって、このような基幹分野を継続的に扱う研究交流の場として機能していく。さらに、ポストゲノムからフィジオームへと至るシステム論的な研究分野を開拓していきたい。